良くなったと思っても何度でも繰り返しできてしまう「大人ニキビ」や、炎症が悪化して膿が溜まってしまった「化膿ニキビ」は、セルフケアでキレイに治すのが難しいニキビ症状です。
そういったニキビのお悩みには、医療機関でのみ処方される専門薬が有効です。
「たかがニキビで病院?」と思うかもしれませんが、できるだけ早く治療をすることで、赤い跡や皮膚のへこみとして皮膚に残ってしまう「ニキビ跡」を防ぐことにも繋がります。
この記事では、そんなニキビの早期治療、根本治療のための処方薬について解説します。
ニキビは誰にでもできるものですが、実は尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)というれっきとした皮膚の病気です。 皮脂腺が過剰に皮脂を分泌すると、その皮脂が毛孔を塞ぎ、細菌が繁殖してしまいます。その結果、ニキビが起きます。思春期に特に多い症状ですが、私たちが大人になっても、その悩みから解放されるわけではないのが現状です。
多くの人が悩んでいるニキビは、皮脂の分泌が多い部分、つまり顔だけでなく胸や背中にもできます。
そのニキビという皮脂が詰まった部分を自己判断で潰してしまうと、皮膚の炎症が広がってしまい、くすみやシミ、凹凸のあるニキビ跡を作り出す原因となることがあります。
この事実を理解することが大切です。ニキビはただの皮膚のトラブルではありません。それは一種の炎症反応であり、自身で勝手に治そうとすると症状を悪化させる可能性があります。ですから、適切な治療が必要なのです。この認識をまず持つことが、皮膚の健康を取り戻す第一歩を踏み出すための、大きなステップとなるでしょう。
皮膚科でニキビの対策を講じる上でまず欠かせないのは、ニキビの種類を理解し、各種類に応じた適切な治療法を選択することです。ニキビには、その状態や色により、「赤ニキビ」、「白ニキビ」、「黒ニキビ」、「黄ニキビ」の4つの段階が存在し、それぞれ異なる対策が必要となります。特に大人になっても悩まされるニキビは厄介であり、皮膚科での専門的な治療が必須となることもあります。
発生するニキビの中で、まだ炎症が起きおらず皮脂や角質の詰まりが生まれて白くポツっとできものに見えている状態を「白ニキビ」と言います。
「黒ニキビ」は白ニキビの表面が酸化している状態で、同様に炎症はまだ起きていない状態です。
外観上はそれほど目立つものではないかもしれませんが、ケアを怠ると炎症を引き起こす可能性もあるのです。この状態で適切なケアを行うことが重要です。
白ニキビ、黒ニキビが悪化して強い炎症が起きている状態を「赤ニキビ」、さらに症状が進んで膿がたまっている状態を「黄ニキビ」と呼びます。
それらは皮膚が赤く腫れ上がったり、触れると痛みを感じることが特徴で、快適な日常生活を阻む可能性があるため、早期の治療が求められます。
特に、深部のニキビは悪化しやすく、放置していると状況がひどくなり、症状が進行すると抗生物質などの強い薬が必要になることもあります。しかし、適切な治療を受けることでニキビの症状は緩和され、皮膚の健康を取り戻すことは十分可能です。
数あるニキビのタイプの中でも、特に厄介だとされる赤ニキビと黄ニキビ。これらは激しい炎症を引き起こし、「ニキビ跡」の原因になるケースが多く見られます。
ニキビ跡は皮膚表面に凹凸を生じさせたり、色素沈着を引き起こします。こういったニキビ跡は自力での完全な治療が難しく、専門的な治療が必要となります。
そのため、炎症が起きる前、また軽度なうちにクリニックで早期に治療薬を処方してもらうのがおすすめです。
いざ病院でニキビをみてもらうときに、一般皮膚科と美容皮膚科、どちらを受診すればいいか迷いますよね。
その違いは「今ある症状を治す」のが一般皮膚科で、「治療した上でより美肌を目指す」のが美容皮膚科です。
一般皮膚科では、医療保険が適応される「保険診療」が主になります。3割の負担で処方薬の効果を試すことができます。一方、美容皮膚科は、全額自己負担となる「自由診療」のメニューが主です。最新の医療技術を使用した治療で、今あるニキビの治療の他、繰り返しニキビができてしまうような肌を根本から改善するような治療を受けることができます。
しかし全額自己負担となると高額となるため、まずは保険診療の一般皮膚科で治療薬を処方してもらい、今ある炎症のニキビを治した上で、それでも繰り返すニキビや、気になる赤み、毛穴の開きなどを美容皮膚科で治療してみてはいかがでしょうか。
自身の肌に発生したニキビがどんな種類のものか理解することは、最適な対処法を見つけ、より早く肌トラブルを解決するために不可欠なステップです。したがって、各種のニキビに対する専門的な治療法やスキンケアのポイント、そして可能であれば専門的な皮膚科での治療も視野に入れていきましょう。
大人ニキビとして特に見られる白ニキビは、皮脂の分泌が過剰になることで毛穴が詰まり、皮膚と同色の白っぽい色味へと変化するニキビの一種です。黒ニキビは白ニキビの皮脂腺の開口部が酸化し黒く見える状態を指します。
白ニキビや黒ニキビは、順調にスキンケアを行っていても出現するため、多くの方が悩んでいます。
皮膚科での治療では、まず毛穴が詰まりにくくなるような薬が処方されます。
これにより皮脂の過剰分泌を抑制し、毛穴の詰まりを防ぐことで白ニキビの出現を予防します。さらに、皮膚のターンオーバーを正常化し、古い皮膚細胞が新しい皮膚細胞に置き換わる過程を健康的に保つため、ビタミンA誘導体の薬も併せて用いられることが多いです。
同時に、スキンケアや生活習慣など、普段の生活で心がけられることを指導します。
皮脂のバランスを整え、肌の新陳代謝を促進することで、白ニキビへの有効な対策がとれるようになります。適切なスキンケアと分泌バランスを整える皮膚科での治療により、大人のニキビ問題を解決し、健やかな肌を目指しましょう。
炎症を伴う赤ニキビは繁殖したアクネ菌が原因で発生し、痛みや腫れの他、治療を怠ると痕が残る可能性があります。こうした赤ニキビの治療には、専門的な薬の力が必要不可欠です。
皮膚科で処方される薬は、白ニキビ・黒ニキビに使用する塗り薬に加えて、抗生物質の内服や塗り薬が中心で、これらはニキビの原因となる菌の繁殖を抑制し炎症を抑える効果があります。
もし赤ニキビが進行し重症化した場合、内服薬のロアキュテインが推奨されることも。
ロアキュテインは強力な薬で、皮膚の脂質生成を抑制しニキビの根本から治療します。
但し、薬の力を借りた治療を進めるにあたっては、その副作用も理解した上で医師の指導に従うことが重要です。外用薬だけではなく、内服治療という選択肢があることを知り、適切な治療を選んで大人のニキビとお別れしましょう。
黄ニキビは膿が皮膚の中に蓄積されて黄色く見えるニキビの一種です。皮膚科では、この黄ニキビの治療のために、膿を排出させる塗り薬や炎症を鎮静化するための薬を処方することが一般的です。また、必要に応じて抗生物質の内服も用いられます。
自己判断でニキビを潰すと、感染のリスクが高まり、症状が悪化する可能性があります。そのため、黄ニキビの治療法については、専門医の診断と指導に基づいて行うことが最善の選択です。
さらに、定期的な皮膚科通院で、適切な薬の使用方法やスキンケア法を身につけ、ニキビへの適切な対応を学ぶことで、繰り返しニキビに悩むことのない肌へと導くことが可能となります。
ここからは、実際にフェミークリニックで処方している具体的なニキビ治療薬について解説していきます。
フェミークリニックのニキビ治療では、基本的に炎症を抑える抗生物質と面皰を予防する角質ケアの薬の2種を用います。
もちろん、ニキビの症状や肌状態は患者さまお一人おひとり異なるため、これらの薬を適宜組み合わせて処方していきます。
また、ニキビ治療を内側からサポートするために、ビタミン剤の服用も同時に行っていただきます。
病院で処方される抗生物質の塗り薬は市販されているニキビ治療薬に比べて強力で、細菌の増殖を抑え殺菌することで、化膿まで進行したニキビを早期鎮静する効果があります。
あくまで炎症・化膿を起こしたニキビの菌を抑える効果であるため、白ニキビ・黒ニキビには効きません。
有効成分クリンダマイシンリン酸エステルを主成分としたジェル状のニキビ治療薬で、ブドウ球菌やアクネ菌といった菌によって起きている炎症を抑えます。
メイクを落として洗顔したのちに塗布することで、炎症の腫れや赤みを改善します。
オゼノキサシンという有効成分を主成分とした抗生物質です。
クリンダマイシンゲルと同様、炎症を起こした赤ニキビや黄ニキビを治療する塗り薬で、クリンダマイシンゲルでは効き目が悪かった場合や、効きが悪くなってきたらこちらに切り替えます。
炎症が起きる前の白ニキビ・黒ニキビの治療には、皮脂詰まりの原因を改善する角質ケアの治療薬を処方します。
こちらも市販薬より効果が高いため、ニキビが重症化して炎症を起こす前に早期治療を行うことが可能です。
ただし副作用として、使い始めは肌のひりつきや皮むけ、赤みが起こります。これはニキビの元となる角質の詰まりを除去するために起こる刺激です。おおむね2~3週間で収まってきます。
副作用と効果のバランスを見ながら、複数ある外用薬の中から患者さまに最もあった処方を行います。
アゼライン酸を有効成分としたニキビ薬で、皮脂の分泌を抑え、古い角質が毛穴に詰まるのを防ぎます。
アダパレンを有効成分としたニキビ薬で、角質層の生成を抑制することで毛穴の詰まりを改善します。
過酸化ベンゾイルを有効成分としたニキビ薬で、ピーリング作用で角質の剥離を促し、毛穴の入り口の詰まりを改善します。炎症を抑える働きもあります。
アダパレンとクリンダマイシンゲルの二つを有効成分としたニキビ薬で、角質のケアをしながら抗生物質で炎症を抑えます。
アダパレンと過酸化ベンゾイルの2つを有効成分としたニキビ薬で、毛穴のつまりを抑制します。
炎症が強いニキビがある場合は、上記の外用薬の他に内服の抗生物質を処方します。
内と外の両方からニキビを悪化させる菌を殺菌し、健やかな肌を目指します。
※妊娠中は使用できません。
テトラサイクリン系の抗生物質で、アクネ菌などの静菌作用、抗炎症作用があります。抗生物質の中では比較的副作用が少なく、ニキビ治療に処方される抗生物質の代表薬です。
マクロライド系の抗菌薬で、アクネ菌などの増殖を抑えます。ビブラマイシンで効果がない場合、こちらに切り替えます。
レチノイドを主成分とした内服薬で、皮脂分泌と皮膚の角化を抑制し、毛穴の詰まりを防止します。また、アクネ菌への抗菌・抗炎症作用もあり、重度のニキビへの治療に処方されます。
上記の2種の抗生物質が効かない場合、内服を検討します。
フェミークリニック公式YouTubeチャンネルでも梅田院の井畑院長が解説しています。合わせてご確認ください。
ニキビ治療における皮膚科の薬に関するよくあるご質問 をまとめました。
このページの監修医師
フェミークリニック総院長北山 英美子
東邦大学医学部を卒業後、東邦大学形成外科に入局。経験を積んだのち、渋谷フェミークリニックを開院。2006年よりフェミークリニック全7院の総院長を務める。
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